過敏性腸症候群に鍼療法は有効か?
過敏性腸症候群は10人に1人いると言われています。
主な症状は腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感、腹鳴、ガス漏れと多岐にわたります。
また、病院に通い薬を使っていても、改善が見られないという方も少なくありません。
そんな方は、薬以外の治療法を探していらっしゃると思います。
ここでは、鍼療法が過敏性腸症候群に有効なのかを書いていきます。
医学的な文献ではどうか?
「過敏性腸症候群 鍼」で検索すると最初に出てくるのは「過敏性腸症候群に対する鍼療法 | Cochrane」という、集積した文献を観覧できるCochraneのサイトです。
Cochraneの文献を見てみると、鍼と偽鍼(鍼をしたように思わせて実際はしていない)との比較をした結果、効果に差がなかったという内容です。
追記:「【機能性消化管疾患診療ガイドライン2020】にて、過敏性腸症候群に対しての投薬治療効果が十分でなかった場合、代替として鍼灸治療を提案する」と変更されています。
これを見たIBSで悩んでいる方は「なんだ、効かないのか」とがっかりすると思います。
しかし、ちょっと待ってください。この文献には一番重要なことが書いてありません。
それは「どのような理由でどのツボに鍼をしたか」です。
ここが一番大切なところです。なぜかというと、鍼灸の世界では悲しいかな、流派のようなものが存在し、考え方もやり方も違うからです。
「気のながれを調整する考え方」、「そもそも気は存在しないという考え方」、「筋膜や筋肉を狙う考え方」、「身体の連動を調整する考え方」、様々な理論のもとで今の鍼灸は存在しています。
もっとも効果的な鍼灸理論があると分かれば、鍼灸師全員がその方法を採用すればよいのですが、それが分らないから、いまだに流派が分かれています。
話を戻しますが、Cochraneの文献ではどんな鍼療法を採用したかが重要なところなのです。
薬の文献で言うところの、「〇〇薬を使用したら過敏性腸症候群の症状がどうなったか?」は意味がありますが、「薬を使用したら過敏性腸症候群の症状がどうなったか?」では肝心の何の薬かがわからないのです。
IBSで鍼灸を受けるなら
鍼灸の一番重要なところはツボ選びにあります。ツボによって効果は大きく違ってきます。
さらに言うと、施術を担当する施術者の技量によって正確に施術を行えない可能性があります。腰痛や膝痛など整形外科的な症状を得意としている鍼灸師が文献の実験に参加していることだって十分に考えられます。
極端な話、腹部の症状専門に結果を出している鍼灸師が、まず使わないツボを、実験ではすべての参加者に行っている事もあるかもしれません。
当院でもIBSに関して多くのお悩みをいただきますが、改善率は高い水準を維持しています。文献の内容では説明がつかない結果です。
餅は餅屋です、今回取り上げた文献の内容は、鍼灸の数ある施術法の一つのやり方で出た結果です。腹部症状を専門的に行っている鍼灸院で施術を受けていただけると、IBS症状を改善できる可能性があります。
ぜひ諦めずに鍼灸院を探していただきたいと思います。
札幌市白石区のととのえ鍼灸院、院長の山本です。
鍼治療を探求し、患者様から「ここに来てよかった」と言って頂く瞬間のために情熱を注いでいます。
趣味は身体を動かす事、映画鑑賞、ドライブ、かわいいかわいい娘と遊ぶこと。