鍼灸の力を「信じていない」鍼灸師に知ってほしい鍼灸の話
「自分の鍼治療に自信を持っている」という鍼灸師は鍼灸師全体の何割くらいなのでしょう?
「なんとなく痛いところに鍼を打ってて、メインは慰安のマッサージ。」
「鍼灸師だけど、気の流れとかあまり理解できず、まして鍼だけで施術なんてできない。」
「鍼灸師になってみたものの、思っていた仕事内容と違い、今は違う仕事をしている。」
当てはまる鍼灸師、意外と多くないですか?
今回は、そんな方に知っていただきたい、私の体験をお伝えしたいと思います。
鍼灸師になって10年目そう言う私も・・
実は、2年前まで私もその中の一人でした。
鍼の施術にまったく自信がなかったのです。
2年前、整動鍼という技術に出会う前までは…。
私は柔道整復師の資格を取得した後に鍼灸師になりました。
西洋医学を学んだ後に、東洋医学を学んだというこになります。
このパターンで免許を取得した方には「あるある」の壁があります。
鍼灸学校では、柔整で学んできた人体の生理学的な考えとは辻褄が合わない内容を学ぶという壁です。
思考を西洋医学から東洋医学に切り替えて、割り切って考えるしかありませんでした。
気の流れや五行論などを西洋医学的な視点から学ぼうとすると、一回一回立ち止まってしまいます。
すんなり受け入れるため、新たに作った東洋医学用脳内メモリーで勉強をしていました。
机上では、割り切ってしまえば勉強することは出来ました。
ですが、臨床となると簡単にはいきません。
鍼灸師の資格取得後、腰痛や肩こりなどの鍼灸治療はしてみたものの、「なんとなくいいな」というラインを越えられず、「すごい!全然痛くない!」という経験はほとんどなかったと思います。
入学当初、鍼灸に期待していたことは、「一回の施術で劇的な効果」だったのですが、そんなはっきりとした効果は出せませんでした。
私の実力が無かったと言えばそれまでですが、学校で教えてもらう範囲の事をやってみても、「やんわりとした効果」それくらいの手ごたえでした。
それでも、当時整形外科で勤務し、西洋医学的観点の方がメインだった私は「それでもいい」とも思っていました。
そして気付けば、いつの間にか鍼灸の効果をあまり信用しなくなっている自分がいました。
そんな鍼スキルのまま開業したため、当然、開業してからもそのレベル以上のパフォーマンスができるはずもなく、東洋医学的観点は風前の灯、鍼をする場合は、痛みのある筋肉を狙う局所鍼になっていました。
痛いところを狙うこと自体が悪いわけではないですし、今でもすることはありますが、今と以前とでは見方が違います。
以前は局所の鍼しか選択肢がなかった状態でした。
しかし、局所の鍼施術はやり方によってリスクがあります。
施術の後、「痛くて起き上がれない」なんて悪夢です。
もちろん技術によって雲泥の差があることは大前提ですが、日頃「もみほぐし」や「機能訓練」など、鍼施術から遠ざかっている鍼灸師にとっては、臨床でその技術を獲得するのは難しいのが現状です。
そのため、私も強い症状の患者さんには自信をもって「鍼」をお勧めできませんでした。
そんな時、出会ったのが整動鍼でした。
ある勉強会に参加した際に「快気堂鍼灸院白石」の谷地一博先生(現:整動協会副代表)にお会いすることがあり、「すごく効果のある鍼の施術法」について教えていただいたことがきっかけでした。
谷地先生は、当時自身が四十肩で、有名な鍼灸師に治療してもらってもよくならなかったのが、整動鍼を受けて一本の鍼で大きく改善したという話でした。
「今の施術は中途半端でこれといった強みがない、もっと効果的な治療がしたい」と思っていた私は、この状況を打開するきっかけになればと思い、整動鍼のセミナーに参加することを決めました。
セミナー内容にびっくり
今は各地で受けることができる整動鍼のセミナーですが、当時は東京でのみ行われていました。
会場には各地から「整動鍼」の噂を聞きつけた鍼灸師が集まっていました。
セミナーは二日間で行われ、一日目の午前中は理論、残りの時間は栗原誠先生(現:整動協会代表)のデモ(テキストに沿った症状の参加者がいれば、実際にその治療を行う)と、あとの時間はひたすらツボ取りと刺鍼を繰り返すという強化合宿のようなセミナーでした。(雰囲気は非常に和やかです)
治療系のセミナーといえば、講師の説明や治療を見て、最後に参加者もやってみましょうというスタイルが多いと思いますが、整動鍼セミナーの場合は、大半が参加者が実際にやってみる時間に費やされているため、二日間のセミナーが終わった頃にはテキストに書いてあることが、ある程度はできるようになっていました。(精度は繰り返しの練習が必要です!)
「先生ナニコレ!全然痛くないよ!」
整動鍼(四肢編)を受講してきた私のもとに一本の電話が入りました。
「腰が痛いです」
以前からいらっしゃっていた患者さんからの電話でした。
新しい技術を使いたくてうずうずしていた私は、患者さん了承のもと、さっそく習いたての「整動鍼」を行うことにしました。
ご連絡いただいたのは慢性的な腰痛もちの方で、それが悪化したとのことでした。
早速、腰痛に関連する足部と、ふくらはぎに鍼をしました。
正直、習いたてで、どの程度効果が出るか私自身もわからなかったのですが、患者さんから発せられた言葉に鳥肌が立ちました。
「先生ナニコレ!全然痛くないよ!」
痛みを探している患者さんの様子に、にやけてしまいそうになり、平静を装うのに苦労するほどの結果が出たのです。
「魔法のような効果を出せた!」
鍼施術に自信がなかった私に効く鍼ができてしまったのです。
「習いたてでも、効果が出せる」と聞いてはいましたが、正直、そこまでとは思っていなかったので、「こんなに効果があって、しかも習いたてでも結果がでる治療法があるのか?!」という衝撃を感じました。
その後も、膝の痛みや、ばね指、手足のしびれなど、色々な症状に鍼施術を行いましたが、「整動鍼」を使うようになり、自分の鍼施術が今までと明らかに違う領域に入ったと感じられる効果が出るようになりました。
そしてなにより、施術することが以前よりずっと楽しくなっていました。
効果を十分に実感できた私は、他の整動鍼のセミナー「脊柱編」、「腹背編」や応用編を受講し、対応できる症状を増やしていきました。
「整動鍼」ってなんだ??
ここで、「整動鍼」について説明したいと思います。
整動鍼は、群馬の「養気院」院長であり、整動協会代表の栗原 誠先生の考案した施術方法です。
栗原先生も東洋医学的観点から、施術を行なっていたそうですが、効いたり効かなかったりする効果に疑問を感じ、ツボと体の反応に着目し、「整動鍼」を考案したそうです。
「整動鍼」は一般的な鍼灸の考えとは大きく違う点があります。
まず、一般的な鍼灸の考え方である「気の流れ」を考えず、「体の緊張」、「体の動かしやすさ」を重視しています。
整動鍼では「痛いから動かない」のではなく、「動かないから痛い」という考え方をします。
これは、古くから伝えられ、様々な治療法に枝分かれした元となっている「活法」からきている考え方です。
2014年から公開された「整動鍼」ですが、新しいことばかりではなく、昔から行われてきた東洋医学の考え方を紐解きながら発展した技術でもあるそうです。
なぜ足三里が胃腸に効くのか、なぜ合谷の効果は多種多様なのか。
整動鍼と出会い、鍼灸学生の時にぶつかった壁が崩壊していくのを感じました。
そして、鍼灸施術に自信がない人に理解してほしい大きな特徴として、「名人じゃなくても同じような効果が出る」ということがあげられます。
名人級の鍼灸師は高い効果を出せるそうですが、それを他の鍼灸師が同じく再現できるかというと簡単にはいきません。
長い年月修行して、努力しても名人と同じような結果にならない。
そうなると、どんなにいい施術方法でも、大勢の鍼灸師がその技術を会得し社会に貢献することは困難でしょう。
その点、「整動鍼」は習いたてでもびっくりする効果をあげられることがあります。
鍼灸治療に自信のなかった私も、今ではどんな症状でも治療するのが楽しみになりました。
患者さんの喜んだ顔や、驚いた顔、患者さん・施術者・付き添いのご家族、その空間にいる全員が効果を共有できた瞬間のあの喜びの感情は、一度体験すると病みつきになってしまいます。
鍼灸で一人前の治療ができるまでには何年もかかるものと言われていますが、「整動鍼」は選択するツボと、取穴が正しくできれば、高い効果を出すことができます。
実際に整動鍼をやっている先生の中には、新卒の鍼灸師や、普段臨床に立っていない鍼灸師もいらっしゃいますが、名人級の効果が出せています。
鍼灸界のビックウェーブ
今、この高い効果を研究するため、北海道帯広市にある北斗病院で臨床研究が行われています。脳磁場を測ることができるMEGという装置を使い、鍼治療の効果が脳にどのような変化をもたらすかを研究する最新の研究です。
鍼灸の効果を検証するためお医者さん、技師さん、看護師さん、病院職員の方の協力のもと研究が進んでいます。
それと並行して、鍼灸師の臨床研修も行われています。
臨床研修といっても、鍼灸院ではなく、病院で行うわけですから患者数も疾患も幅広く、効果の検証も、一本鍼をして効果を確認するという方法をとっているため、どの鍼が効いたか効いていないか、はっきりとします。
この研修は1日で半年分の経験を積むことができるといっても過言ではありません。
まさに「精神と時の部屋」状態。
研修を積めば鍼灸界のスーパーサイヤ人を量産できるかもしれません。
詳しくは谷地先生のブログをご覧ください↓
ドアのノックはゆっくりと「鍼灸師と病院のコラボレーションが生み出すもの」
そして、今、整動協会の活動は、病院、スポーツ分野、介護など多方面に大きく動こうとしています。
全てが動き出すと、整動鍼を会得した鍼灸師の数が圧倒的に足りなくなります。
理想とする就職先がない鍼灸師や、生活のため自分の理想とする鍼灸師像とかけ離れた業務に追われる鍼灸師の方には、ぜひ整動鍼の技術を会得していただいて、整動協会の大きな波に乗っていただきたいと思っています。
私自身、鍼灸師なのに鍼灸の力に半信半疑でした。
効果があったとして、世の中には様々な鍼灸の流派が存在するため、「本当に効くのか分からないし、どれを習ったらいいかわからない」、私はそうでした。
流派はいろいろあれど、どの流派もそれぞれに効果を出すことができると思います。ですが効果をはっきりと感じられるまでの技術を会得するまでには、かなりの労力と時間がかかります。
そういう意味では、「整動鍼」は習いたてでも高い効果を出せるため、最短で鍼灸の効果を手にできる手法だと思っています。
何よりも、鍼灸師としての自信を無くしている方には「整動鍼」という技術を知っていただき、自信をもって臨床を楽しんでいただきたいと強く思います。
今現在、整動鍼は協会主催のセミナー以外に、整動協会から認定された会員が行っている公認勉強会、自主的に行う自主勉協会を毎月行っているため、セミナー参加後のフォローアップがしっかりおこなえることも我流にならずスキルアップができる利点です。
また、セミナーに参加すると、全国の鍼灸師とのつながりができるため、コミュニティーを通して臨床上の相談などもできます。
今年の整動鍼セミナーは東京、北海道(札幌)、愛知(名古屋)、スペイン(バルセロナ)で行われる予定です。
ご興味のある方は、ぜひ整動協会のホームページをご覧ください。
札幌市白石区のととのえ鍼灸院、院長の山本です。
鍼治療を探求し、患者様から「ここに来てよかった」と言って頂く瞬間のために情熱を注いでいます。
趣味は身体を動かす事、映画鑑賞、ドライブ、かわいいかわいい娘と遊ぶこと。