過敏性腸症候群(IBS)、お腹の症状
症例23 学校でのトラブルから体調を崩した中学一年生の腹痛
患者
女性 中学生 鍼灸経験なし
症状
半年ほど前、部活や友人関係でトラブルがあり、それ以来、腹痛や吐き気が出るようになった。小児科を受診し血液検査、レントゲンなどの検査を行い異常なしと診断を受けた。
次第に下痢も起こるようになり、ミヤBM、コロネルを使用し下痢は落ち着いたが、排便前の腹痛、排便に時間がかかりトイレにこもる、排便に5~6回/日行くようになった。
腹鳴も頻繁に起こり、授業中もトイレに行きたくなる、お腹が鳴ったらどうしようという不安で授業中、常に緊張するようになってしまった。
平日は毎朝腹痛で起きられず、休日の朝は比較的調子がいいが排便前の痛みはある。
- 朝に腹痛が起こり起きられない
- トイレに長い時間こもる
- 排便回数が一日5~6回になった
- 授業中お腹が鳴ったりトイレに行けない状況がつらい
- 便が出づらく、お腹の張りもある
施術内容と経過
初診時
下腹部に硬さがあり、押すと痛みもありました。
対応する足のツボと腹部のツボに鍼をして押した痛みが軽減したため終了。
2回目
平日の痛みは3日/週に減少
3回目
腹痛の低下、トイレの回数も朝夕の2回10分ほどで出られるようになった。
お母さんから見てお子さんが明るくなった。
4~6回目
吐き気や痛み腹鳴が出ることもあったが、徐々に安定してきた。
7~9回目
腹痛も腹鳴もなくなり、つらかった時の記憶から、心理的な不安だけある。
10~13回目
長期の休み明け久しぶりに腹痛が出たがすぐに落ち着いた。学校での問題などもあり症状を感じることもあったが、体調の波はすぐに落ち着くようになり、13回目には症状も不安もなくなっていた為、施術を終了した。
通院回数、通院間隔
症状が強い間は3~4日に一回、状態が良くなった8回目以降は月に2回ほど
使用した主なツボ
三陰交LR、陰稜線LR、上巨虚LR、天枢LR、関元、上星、百会、目窓LR
考察
部活や友人関係のトラブルがきっかけとなり発症した今回の症状は、ストレス刺激によって自律神経が誤作動を起こし、自律神経に支配される腹部に症状が起こったと考えられます。
自律神経由来の不調に対する鍼灸が有効であるという論文は多数あり、得意分野といっても過言ではありません。
加えて、腹痛を抑えるツボ、下痢を抑えるツボなど古くから伝わっているツボに刺激をすることで、順調に改善したものと考えます。
また、患者さんにとって鍼灸を受けたら体調がよくなるという信頼、安心感がより日常の波を穏やかにしたのではないかと考えます。
症例22 長期休み明けから発症した中学生の腹痛
患者
男性 中学生 鍼灸経験なし
症状
- 夏休み明けから腹痛が出るようになった
- 食後、特に朝食後に悪化
- 休日は痛みが少ない
- 便秘気味でもあり、便意があっても出ないことがある
- トイレにこもり、30分~1時間かかることも多い
- 病院ではCT、レントゲン異常なし、過敏性腸症候群と診断を受け、イリボー、マグネシウムを処方
施術内容と経過
初診時
痛みは下腹部に出やすい、下腹部全体に圧痛あり、それらを改善するための下肢や腹部のツボに鍼をした。
2回目
前回施術から3日経過し、痛みは一度出た、再び下肢と腹部の調整を行った。
3回目~5回目
痛みが出ることが減り、学校に行ける日も増えてきた。
6回目~10回目
嫌な授業や、緊張することがあると短時間痛みが出ることがあるが、休まず学校に行けている。
11回目~14回目
日常の生活で痛みはなくなり、ご本人ご家族と相談し、月一度の定期的な施術を続けていただいている。
通院回数、通院間隔
3回目までは3・4日おきに、その後は1週間間隔、痛みが落ち着いてからは月に一度のメンテナンス
使用した主なツボ
足三里LR、上巨虚LR、陰稜泉LR、天枢LR、関元
考察
精神的な緊張感が刺激になり痛みが出ているケースと思われ、病名通り、腸が過敏になり、少しの刺激で強い痛みが出る状態と考えられました。
また便秘も刺激になっている可能性もある為、自律神経の正常化と便秘の改善を目的に調整し、次第に痛みが出ることもなくなりました。
学校にも通えるようになり、貴重な学生生活のサポートできたのではないかと思います。
症例21 一日に何度も繰り返す腹痛下痢、過敏性腸症候群の中学生
患者
男性 10代 鍼灸経験なし
症状
- 現在中学生、10カ月前から腹痛と下痢。
- 病院で血液検査、検便検査異常なし、過敏性腸症候群の診断を受けた。
- 病院でもらった薬(コロネル、ミヤBM、イリボー)を服用しているが、いまいち効果が出ない。
- もともとお腹が弱い方ではなく、突然今の状態になった。
- 平日休日関係なく腹痛、下痢がある。
- 排便すると一旦痛みは治まるが、すぐに痛みが出てく為、腹痛が治まっている時間は長くは続かない。
施術内容と経過
初診時
痛みはへそのやや上方右寄り、腹部の反応もその周囲に強いため、対応していると考えられるツボに鍼をして痛みの減少を確認。
初回の施術を終えました。
2回目
前回から痛みがあまり出ていない。
下痢も軟便もなく調子がいいとのこと。
3~5回目
短時間腹痛出ることがあるが、すぐに治まる。
日常に支障ない状態。
6回目
前回から一か月あけて痛み全くない。
いい状態が続いているため、不調が出た際にご連絡いただくようにお伝えして、施術を終了しました。
通院回数、通院間隔
二か月間で6回、週に一回程度、6回目のみ一ヶ月後
使用した主なツボ
陰稜線LR、上巨虚R、下巨虚R、手三里R、天枢R、下脘
考察
治療前は、痛みが常に続くような状態で、通学もできなくなり、日常にもかなり支障が出ていた患者さんでした。
一回目から痛みが大きく軽減したのは、鍼灸の施術効果と、ご本人と家族内でも苦手だった牛乳の摂取をやめていただいた影響もあるかと思います。
ご家族内でも牛乳を飲むと下す、ゴロゴロするという場合、乳糖が合わない可能性があります。
ご家族内で牛乳が合わない、なおかつお子さんが腹痛や下痢にお悩みの場合、一度牛乳を飲まないようにするという方法も選択肢になるかと考えます。
症例20 お腹が張って痛くなるガスと痛みの症状
患者
男性 40代 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2022年6月~2023年2月
症状
- 食後にお腹が張って痛くなる。
- 中学生頃から始まり、社会人になってからも症状が続いていた。
- 食事をしていない時も多少張るが、食後30分くらいで悪化する。
- ガスピタン使用していたが効果がなかった。
- デスクワークの為、日中動くことはあまりなく、静かな環境で仕事をするためガス症状も気になる。
施術内容と経過
初診時
腹部全体に緊張が強く硬い状態。おなかに触れた際にぴくっと収縮する様子も見られました。
腹部の特に反応の強い部位を選択し、それらに対応するツボに鍼をして腹部緊張の緩和を確認し、初回の施術を終えました。
2回目
初回に比べると腹部やわらかい状態、食後に痛みは3割減、引き続き腹部の緊張を調整するため施術。
3~6回目
症状が気にならない日もでてきた。痛みはそうでもなくなり、張りが残っている。施術を受けて数日はいいが、だんだん張ってくる。
7~12回目
腹痛はほぼでなくなり、食後10分程度の張りが残っている。
13~20回目
症状が落ち着いてからは月に1~2回のメンテナンスを行っていました。
状態かなり安定したためご本人と相談し、施術を終了することとなりました。
通院回数、通院間隔
週1~2回、状態改善してからは月に1~2回
使用した主なツボ
大腸兪LR、関元兪LR、合谷LR、条口LR、陰稜線LR、陽陵泉LR
考察
ガスを我慢することでお腹に痛みが出ることはありますが、特にお腹が過敏な状態になるとより痛みを感じやすくもなってしまします。
今回の方は、症状が出てから月日がたっていたこともあり、日常的に腹部に力が入っていたのではないかと思われます。そのため腹部の緊張も強く、触れた際の反応も敏感で、常に過緊張状態だったと推測しました。
腹部の過緊張を調整するために、体幹部や手足のツボに鍼をし、改善につながりました。
症例19 授業中緊張してしまう過敏性腸症候群ガス型
患者
女性 10代 札幌近郊在住 鍼灸経験なし
来院
2022年8月
症状
- 今年に入り、授業中(特に静かな授業)、テスト中、プレッシャーがかかった際におならが漏れる、におい漏れが気になる。
- 症状のせいで学校も休みがちになっている。
- ガスを我慢しているためか、腹痛を感じることもある。
- 排便は問題なくできている
施術内容と経過
初診時
おへその周りに圧痛があり、普段痛みを感じる場所と同じエリアだったため、対応するツボに鍼をしました。体のこわばりを調整するため、腰や肩にも鍼をしました。
2回目
午前中は大丈夫で、昼食後は症状気になるとのこと。
学校は休まず登校できている。
3回目~5回目
調子の波はあるものの症状出る日が減ってきている。
たまに腹痛、午後ガス症状、テストあったが集中できた。集中していたほうが気にならない。
6回目~7回目
ガス症状もなくなり、日常生活に支障ない状態になったとのこと。
6回目の時点で、一度下すことはあったがすぐに収まった。
良好な状態が続いていたので、ご本人と相談し7回目で施術を終了しました。
通院回数、通院間隔
7回、週1回
使用した主なツボ
上巨虚LR、下巨虚LR、肩兪LR、条口LR、下脘
考察
授業中、静かな状況で症状が心配になり症状が悪化するタイプの過敏性腸症候群でした。
今回の患者さんのような場合は、鍼灸にプラスして環境を整えることも必要だと考えています。
学生さんでは席を変えてもらうことです。
前の席や周囲に人がいる場合に悪化してしまうことが多いため、一番後ろの窓際や、廊下側に席を変えてもらうことで、緊張感が減少し、おなかの過度な反応や、精神的不安感を減らせる可能性があります。
今回の患者さんも初回から席のお話をして、すぐに実行していただき、2回目には症状が大きく変わっていました。施術の効果と環境を整えることで改善できた症例でした。
症例18 学校に行く前に痛くなる午前中の腹痛
患者
男性 10代 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2021年9月
症状
- 学校に行く前になると腹痛、下痢になる。
- 休日はそうでもない。
- 小さいころからおなかが弱いほう。
- 今回の症状は長期の休み後から出るようになった。
- 学生のため、遅刻、早退、テストを受けられないなど学校生活にも大きく影響している。
- 過敏性腸症候群の薬(コロネル)、整腸剤(ミヤBM)、半夏瀉心湯を服用も改善には至らなかった。
施術内容と経過
初診時
痛みの部位と腹部の反応から背中、下肢のツボに鍼をし、腹部反応の変化を確認したため、初回の施術を終了した。
2回目
昨日まで腹痛弱目だった。
今日は食後から下痢、腹痛あり。初回の施術ポイントで変化あったた背中、下肢のツボに鍼をした。
3回目~10回目
施術のたびに症状が軽減、症状に波はあるものの、痛み出ることが減り、日常生活もらくになってきた。
11回目~20回目
症状は、2週に1回弱い痛みが短時間ある程度になっていたが、悪化を防ぐため施術期間を開けながらメンテナンスを続けた。
しばらく続け、症状の悪化がないことから施術終了となった。
通院回数、通院間隔
20回、最初は週に一回、後半は3~4週に一回
使用した主なツボ
T3sL、T4sL、外丘LR,T7eR、T8eR、T9eR、陰陵泉L、交信L
考察
過敏性腸症候群と診断され、平日と休日で症状に変化があるタイプの場合、身体的な調整も当然ながら、心理的な影響も受けやすい状態になっているため、施術間隔を徐々に伸ばし、メンテナンスできたことで不安感もなくなり、心身ともに安定して崩れない状態になりました。
症例17 退職後60代から発症した腹痛
患者
男性 60代 江別市在住 鍼灸経験なし
来院
2021年6月
症状
- 腹部全体の腹痛が朝食後から夕食後まで続く。
- 入浴後は腹痛なく眠れる。
- 便はコロコロ便が固まった便で残便感がある、下痢はない。
- 昨年退職後から腹痛に襲われるようになった。
- 昨年消化器内科にて内視鏡検査受けたが異常はみられなかった。
- 退職してから生活リズムが変化している。
- このような長期の腹痛を経験したことがなく、毎日が苦痛。
施術内容と経過
初診時
痛みは腹部全体。腹部の緊張を確認すると左側に偏っていることが確認できた。
腹部の緊張を調整するため左右の下肢に鍼をした。
2回目
痛み位の軽減が見られたとのこと。意識すると痛みを感じる程度になった。
今回は右腹部の緊張が強いため緩める鍼をした。
3回目~7回目
腹部押すとまだ痛みがある。ストレスがかかると便が出づらくなる。そうなると痛みを感じる。
8回目~14回目
痛みなく生活ができる日が増えてきた。腹部押すと一点が痛いのは残っているが押さなければ痛みを感じることは少ない。時々排便後に腹痛ある。
15回目~
腹部を押さなければ腹痛はほとんど出ない状態で生活できている。
メンテナンスを兼ねて、月に2回程通院を継続中
通院回数、通院間隔
現在も通院中、通院間隔は1週間に一回程度、後半は2週間に1回程度
使用した主なツボ
血海R、合谷L、風市L、陰陵泉LR、陽陵泉LR
考察
退職後に発症した腹痛ということで、生活リズムが変化していることが大きく影響したのではないかと思われます。
それまでは決まった時間にあった排便も不規則になり、運動量も減少したことで腸の動きもスムーズではなくなり、不調につながったのではないかと考えられます。
また、発症した年齢的にもまずは腸の病気を疑う必要があります。
今回の患者様は定期的にご自身で検査を受けておられたので、問題ないと判断しましたが、60代から発症した腹痛や便の異常は悪性のものも含め、それらの重篤な病気を除外できないと鍼灸治療をすすめることはできません。
まずは検査を受け、問題が見つからない場合に鍼灸治療を受けるようにしましょう。
症例16 学校で頻繁にトイレにいく過敏性腸症候群の中学生
患者
男性 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2020年11月
症状
- 数年前から腹痛が起きるようになり、同じ時期から下痢するようになった。
- 痛みは朝に出やすい。そのため頻繁に学校を休んだり早退・遅刻している。
- 今まで良くなったり悪くなったりしている、最近その周期が短くなってきている。
- 病院で出してもらった整腸剤、漢方薬を使用しているが、改善が見られない。
- ほぼ毎日下痢をしている
- 学校ではトイレに頻繁に行っている。
- 休日は体調安定していることが多い。
施術内容と経過
初診時
腹痛ある、腹部に強い緊張を確認、それらの緊張に関係する手足のツボに鍼をした。その場で痛みの変化を確認できたため、初回施術を終了した。
2回目
前回後から普通の便が出るようになってきた。
痛みもマイルドになった。
3~5回目
波はあるが、痛みが出ない日もある。下痢しなくなった。
6~10回目
テストで痛みが出ることがあったが、痛みは随分弱くなった。
冬休みあけで、しばらくぶりに学校に行ったら少し痛みが出た。
11~13回目
腹痛はほとんどでなくなった。
時々ストレスが掛かったり緊張すると痛みが出ることはあるが、今後定期的にメンテナンスすることになり、現在も月に1~2回施術を継続している。
通院回数、通院間隔
月1~2回を継続中
使用した主なツボ
合谷R、足三里LR、陽陵泉LR、陰陵泉LR
考察
今回の症例の患者さんは、状態が崩れやすい傾向にあるため、定期的なメンテナンスをおすすめしました。
メンテナンを行うことで状態が崩れたとしても、すぐに持ち直せるようになりました。
症例15 朝に腹痛が起こる高校生の過敏性腸症候群
患者
男性 10代(高校生) 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2020年12月~2021年3月
症状
- 数年前から腹痛が出るようになった。
- 高校生になってから痛みが強くなった。
- おへその周りに強い痛みを感じる。
- 痛みは朝に強く午後にかけて軽減していくる。
- 平日に腹痛強くあり、休日には痛みが少ない。
施術内容と経過
初診時
痛みを感じる場所がおへその周りに集中していた。
痛みを感じる場所を狙い、鍼施術を行った。
2回目
強く痛む日が2日あった。
痛みの頻度が減った。
3回目
1週間痛みなく生活できた。今朝、朝食後に痛みがあった。
4回目から7回目
痛みが出ていない。
症状が安定しているか判断するため、施術間隔を3週間間隔にした。
8回目
日数たっても症状出ないまま生活できているため、施術を終了した。
通院回数、通院間隔
全8回、週一回ペースで施術を行い、後半は3週間に一回
同時に施術を行った症状
頭痛
使用した主なツボ
足三里L、条口L、上巨虚L、下巨虚L
考察
腹部症状が平日に悪化し、休日に落ち着く場合の過敏性腸症候群(IBS)は環境に大きく影響されていると考えられます。
すなわち、ストレスと大きく関係していることが考えられますが、ストレスは生きていく上で避けて通れません。
当院では、精神的な状態は、身体の様々な部位のこわばりとなって身体に反映されているのではないかと考えています。
今回は腹部の緊張に狙いを絞り、比較的順調に改善された症例でした。
症例14 朝から昼食後にかけて頻繁に起こる下痢
患者
女性 札幌市在住 鍼灸経験あり
来院
2020年4月
症状
- 小学校からお腹が弱く、頻繁に下痢していた。
- 高校生になり症状は悪化。
- 学生の頃は朝学校に行く前、午前中、昼食後、下痢で数回トイレに行っていた。
- 社会人になった今も同様に下痢を繰り返している。水状の便が多い。
- 病院で処方してもらった薬を飲むと軽減するが、使用しているときだけの効果なので、最近は薬も使わなくなった。
施術内容と経過
初診時
腹部に触れるとみぞおちの緊張が強かった為、みぞおち周囲を緩める刺激をした。
2回目
あまり変化ない。
変化がなかったため、みぞおちから下腹部に狙いを変え、緩める刺激をした。
3回目
結構良くなっている気がするとのこと。
下痢の回数が減り、毎日のようにあった下痢が週4日になり、下痢の日も一回の下痢で済んでいる。
4回~6回目
下痢は朝の一回だけ、週のうち2~3日程度。
食事によって症状の強弱はあるものの、食事をコントロールすれば症状は比較的落ち着いている。
7回目
下痢はなくなったわけではないが、週2回朝のみで落ち着いている。
日常で辛くない程度になってきたということで、ご本人と話し合い施術を終了した。
通院回数、通院間隔
週1回のペースで、7回施術
同時に施術を行った症状
喉の詰まる感覚(ヒステリー球)
使用した主なツボ
下巨虚LR、外丘L、陰陵泉LR
考察
初診の際に、反応の強かったみぞおちを狙いましたが、変化がありませんでした。
そこで、2回目の際に、狙うポイントを下腹部に変えたことで、改善が見られました。
変化が出ないまま同じ施術をしても改善は難しいため、当院では施術後の変化がどうだったかを大切にしています。
症例13 食事後に悪化する為、職場で食事を取れない、ガス症状、便秘
患者
女性 20代 苫小牧市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年7月
症状
- 仕事場でのガスだまり、ガス漏れ、腹痛がつらい
- 食事をすると、ガスが溜まるので朝食べない、昼はゼリーなどを食べる
- 昼休み時間は、職場の狭い部屋で従業員と一緒なので苦痛
- 便秘がち
- ガスが気になり食欲がわかない
- 薬は色々試してみたが、あまり効果がない
施術内容と経過
初診時
腹部に触れると、おへその横の筋肉や、下腹部に強い緊張を確認できた。
それらに影響する足のツボ数カ所に鍼をした。
緊張が変化したため初回の施術を終了した。
2回目
前回から1週間ほどは症状が改善されていた。日が立つごとに徐々に症状が出てきた。
便秘気味なのは変わりなし。
3回目~5回目
夕方くらいから気になっていたガス溜まりの症状が軽減してきた。
ガス溜まりが減ってきたため、朝食、昼食を取れるようになってきた。
午前中のお腹の張りはほとんどでなくなった。
6回目~8回目
排便ほぼ毎日ある。
午後のお腹の張りはあるけど、前よりずっと少ない。
症状が崩れなくなった。
以前に比べ楽に日常生活できるようになったため、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
便秘
使用した主なツボ
上巨虚LR、陽陵泉LR、足三里L、合谷LR
考察
食事後に腹部がはるというのは、ガス症状の方によくお聞きするお話です。
食事を我慢して、ガスをコントロールしようとしている方も多いと思います。
症例の方も、食事を我慢することで少しでも症状を和らげようと努力していらっしゃいました。
施術するようになってから、食事をしても悪化することが少なくなり、食事も取れるようになって喜んでおられました。
規則正しく食事を取れることで、相乗効果も期待できます。
症例12 繰り返す便秘と下痢、ガスだまり、過敏性腸症候群
患者
女性 30代 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年9月 インターネットでIBSを検索して当院にご連絡いただいた
症状
・中学生の頃から、食後にガスが溜まりやすく、腹部のはり、腹痛、ガス漏れがある
・便秘と下痢を繰り返すタイプ(便秘が多い)
・排便は平均週に3回ほど、出るときは1日4回ほど排便あり、回数は多いけど、量が少ない。
・緊張しやすく、空気を飲み込みやすい。
・いままで、薬や漢方を使ってみたが改善は見られなかった。
10月旅行があり、それまでにある程度症状を改善できればと思いご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
背部の緊張、右スネの緊張、腹部右側の緊張があり、それらの緊張を調整するため、足のツボに刺激をした。
2回目~5回目
初回施術後、当日と、2日目よかった。徐々に便が出づらくなってきた。
回数重ねるごとに、いい状態が保てるようになってきた。
スルッと便出ることが増えた。
6回目~8回目
旅行に行ってきた。
旅行先ではお腹の張り感じることはあったが、おなかをこわしたりせずに過ごせた。
9回目
お菓子食べ過ぎたり、食事食べ過ぎたりするとお腹を壊すことはあるが、気をつけていると症状は落ち着いている。
無事に旅行も行けたということで、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
肩こり、喉のつまり感(ヒステリー球)
使用した主なツボ
陰陵泉R、陽陵泉R、三陰交R
考察
下痢、ガスだまりなどがあると、外出するにも不安が強くなります。
旅行など知らない土地ではなおさら。
同行する人に迷惑をかけたくなという思いから、症状が悪化することも。
こちらの方の場合、腹部の調整以外に、肩こりや喉の違和感を調整することでより改善しやすくなりました。
症例11 急な腹痛と下痢に悩む中学生 過敏性腸症候群
患者
女性 10代(中学生) 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年9月~10月
症状
小学校6年生から急な腹痛と便意に襲われるようになった。
中学校に通っているが、朝の準備時間や通学途中に激しい腹痛と便意に襲われるため、現在は車で送ってもらっている。
休日は、比較的症状も落ち着いているが、外出などする日は症状が悪化する。
学校では痛み・下痢が怖いため昼食をとっていない。またテストや発表など緊張する行事があると症状が悪化する。
現在はブスコパン(胃腸の痛みを抑える)、ラペラミド(下痢の治療薬)、ポリフル(過敏性腸症候群の薬)、ストロカイン(過敏性腸症候群の薬)使用中。
来年学校で海外研修があるため、その前に症状を何とかしたいとご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
腹部の状態を確認すると、左腹部と下腹部に緊張、圧痛を確認したため、そこが影響を与えていると考えた。そのエリアに作用する足のツボに鍼をしたところ圧痛が改善したため、初回の施術を終了した。
2回目~3回目
痛みの強さに大きな変化はないが、食べ物を食べると悪化していた症状が、最近はそうでもなくなった。同じく腹部の緊張を調整、食生活のアドバイスを行った。
4回目
朝の痛みが全然でなくなった。急に来る痛みはあるものの回数が減った。海外旅行に行っていたが、強い痛みは出なかった。
5回目
日常の生活はほとんど痛みがない状態になった。
テストなどプレッシャーを感じると痛みを感じることはあるものの、最初の痛みから見ると2割ほどの痛み。元気な便も出るようになった。
今の状態であれば、日常の生活に支障がないとの事だったため、お腹が不安定になってきた場合はすぐに連絡いただくようにお伝えし、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
胃痛
使用した主なツボ
外丘L、三陰交LR、足三里LR
考察
小中高生で過敏性腸症候群を発症する方は多い。
薬で改善できるものもあれば、一方で改善に至らない方も少なくない。
そういった症状でも、鍼灸での改善が期待できる。
しかし、精神的な不安感は時間が経てば経つほど根深くなるため、早い段階で治療を開始することが理想的である。
症例10 昼食後や会議で腹痛と下痢 過敏性腸症候群
患者
女性 20代 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年9月
症状
中学のころから急な便意、腹痛、下痢に悩まされていた。
社会人になってからも、食後、会議など緊張する場面、旅行、生理前になると症状が悪化し、辛い思いをしている。
ビオフェルミン(整腸剤)、ストッパ(下痢止め)使用しているが、改善がみられない。
普段から手足の冷え、生理痛が強い。
症状を何とかできればと、インターネットで検索してご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
お臍から下の下腹部に著明な緊張がみられた。そこの緊張を調整する為に、膝から下のツボに数か所鍼をした。腹部の緊張が改善したため初回の施術を終了した。
2回目
腹部はポコポコなるが、腹痛は減ったとのこと。旅行に行ってきたが、症状少なかった。
3回目
今週は全然痛くなかったとのこと。腹部ポコポコなるが支障ない程度。
4回目
食後お腹が鳴るのが気になるが、急な下痢や腹痛はないまま生活できている。
生理痛も以前に比べ改善している。
日常の生活に支障がない程度になったため、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
生理痛
使用した主なツボ
三陰交LR、外丘L、陰陵泉LR
考察
下腹部の緊張が深くかかわっていたと思われる本症例。
当院では、初回の問診の際に患者さんと施術の目標を決めている。
日常に支障がなくなったらゴールなのか、家族と出かけられればゴールなのか、症状が全くなくなったらゴールなのか、趣味ができる程度であればゴールなのか、患者さんによって考え方や生活スタイルは違うため、同じ目標に向けて施術をすることを心掛けている。
症例9 食べたり飲んだりすると悪化する腹痛
患者
女性 60代 札幌市在住 鍼灸経験あり
来院
2019年8月
症状
今年になって胃腸炎を何度もやっている。
二カ月前から腹部がゴロゴロして下痢するようになり、消化器内科にてイリボー(過敏性腸症候群下痢型に使用される薬)、ガスコン(消化管内ガス駆除剤)、ビオフェルミン(整腸剤)を処方してもらい、腹部のゴロゴロ、下痢はなくなったが痛みが取れない。
病院で検査を受けたが異常はみられなかった。
痛みは今が一番ひどく、ここ10日くらい物を食べたり水分を飲むと腹痛が悪化する。
痛みが怖く食事ができない為、3キロほど減った。
施術内容と経過
初診時
背部と腹部に著名な硬さがあったため、それに関連するツボに鍼をした。腹部の緊張が緩和されたため施術を終了した
2回目
2回目来院日の三日前くらいから腹痛が出なくなった。
食欲も出てきて、食道が焼ける感覚も少ない。
今までの経過で痛みがない期間が一週間ほど続くこともあるということで、まだ施術効果かはわからない。前回同様に施術。
3回目
痛みは出ていない。便秘気味。
4回目
痛みは出ていない、ずっと調子いい状態が続いている。
5回目
たまに便が出にくいこともあるけど、痛みは全くなくなった。
生活に支障がない程度になったため施術を終了した。
同時に施術を行った症状
逆流性食道炎
使用した主なツボ
条口L、上巨虚L、足三里LR、陽陵泉L、陰陵泉L
考察
胃腸炎を発症したのち過敏性腸症候群を発症することがある。
胃腸炎の痛みから、腹部に緊張が発生することが関係しているのではないかと考える。
症例8 出勤中、仕事中の急な便意と下痢
患者
男性 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年6月
症状
朝の出勤前や出勤中、仕事中に急に便意がおき、下痢をする。
一日10回ほどトイレにこもる。
腹痛は「ズキズキ」「グォー」とくる。
腹痛は、排便すると軽減するが、頻繁に起こるため、トイレのことばかり考えてしまう。
ビオフェルミン、ストッパ服用中。
「なるべく薬に頼りたくない」、「旅行に不安なく行けるようになりたい」という思いでご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
痛みのエリア、腹部の緊張の反応から、下腿のツボに鍼をした。腹部の緊張に変化が見られたため初回の施術を終了した。
2回目
前回後、トイレの回数が一日3回ほどまで減少した。
施術から時間が経つうちに、症状が少し戻ってきたような感覚がある。
3回目~6回目
3日に1日くらい調子いい日が出てきた。回数を重ねるごとに症状が少なくなっている。
7回目~10回目
この頃には症状が戻ることもなく、安定していい状態をキープできるようになった。
ご本人と相談し、症状が落ち着いているため、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
なし
使用した主なツボ
上巨虚L、下戸虚L、陰陵泉L、胞こうL
考察
「仕事」や「学校」など、特定の条件、環境下で症状が発生することがある。
精神面にばかり目を向けられがちだが、体のバランスを整えることが重要と考える。
今回は腹部の緊張と、すねの筋肉の緊張を整えることで、症状の改善につながった。
症例7 中学校に入ってから発症した下痢型過敏性腸症候群
患者
男性 江別市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年3月
症状
中学校に入ってから腹痛・下痢症状が出るになった。特に、2018年12月ごろから悪化。
小学校から時々腹痛はあったが、数日で治っていた。
現在トイレは1日10回ほど、特に食後に症状(下痢・腹痛)が強くなる傾向がある。
症状が強いため、最近では学校にあまり通えていない。
使用した薬
イリボー錠(セロトニンの作用を抑え下痢、腹痛を抑える薬)、トランコロン錠(腸の異常な運動を抑える薬)、ビオフェルミン錠剤(腸内環境を整える薬)、ポリフル錠(便通の異常に用いる薬)、フェロベリン錠(腸管のぜん動運動を抑制する薬)
消化器内科を受診し、薬も使用してみたが、改善が見られず、思春期外来を予約したが3か月待ちといわれ、その間何かできないかと思い、インターネットで検索して当院にご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
腹部は全体に痛みがある。
腹痛の部位、身体の緊張の強い部位から関係のある手足のツボに鍼をした。
2回目
初回後右腹部の痛みが弱くなり、左が気になるようになった為、左腹部を狙い手足のツボに鍼をした。食欲が出てきた。
3回目~5回目
3回目には症状が10分の5まで低下、5回目には10分の3まで低下した。
6回目~10回目
6回目には学校に行ける状態になり、8回目には腹痛は2~3日に一回になり、10回目には週に1回あるか無いかになった為、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
腰痛、肩こり
使用した主なツボ
上巨虚LR、合谷LR、曲池R、下巨虚L
考察
学生の腹痛は当院にも多くのお問い合わせがある。
学生の腹痛は、検査で異常がなく、薬による改善がない場合、心理的なものだと思われがちな為、身体や腹部の緊張に目が向くことは少ない。
この様な場合、投薬・心理的アプローチだけでは改善は難しいと考えられる。
今現在も病院に通いながら、改善が見られずに悩んでいる学生の方には、投薬やカウンセリング以外にも違うアプローチを受けることをおすすめした。
症例6 過敏性腸症候群によるガス症状、高校生のころからの症状
患者
女性 20代 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2019年1月~2月
症状
音楽講師をしている。
高校生の頃から腹部の症状(ガス漏れ、お腹の張り)に悩んでいた。
2年前から症状が悪化、胃痛もあったが胃痛に関して漢方(六君子湯)を使うようになってから改善したが、ガス症状はよくならない。数年前までガスコンとセレキノンを使用していたが、改善がないため今は使用していない。
症状は食後悪化する、また生理前後にも悪化する。
ガスがたまって我慢すると腹痛が出る。
ガス漏れもよくあるため、他人とのかかわりに不安がある。
足先の冷えがあり、体が冷えるとお腹が痛くなる。
テレビで過敏性腸症候群の特集を見て、病気について調べていた際に当院のツイッターの投稿を見つけ、ご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
腹部の状態を確認すると腹部左側の緊張が強いことが分かった。肩の筋肉の緊張と腹部の緊張を調整することを目的に、手足に鍼をした。肩と腹部の緊張がゆるんだことが確認できたため初回の施術を終了した。
2回目
初回後、症状が大幅に改善していた。
食後の症状の悪化がなかった、足の冷えもなくなった。
今は腹部の神経痛のような症状がある。
3回目
生理の影響で症状が強くなったが、普段に比べると悪化が少なかった。
4回目~5回目
ずっと調子がいい状態が続いている。
楽器を弾く際、力が入るとガスが漏れることがあるが、それ以外は普通に生活できている。
6回目
楽器を弾く時のガス漏れもなくなった。
今は特に症状がないとのことだったため、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
足の冷え、肩こり
使用した主なツボ
合谷L、上巨虚L、曲池L、足三里L、威霊L
考察
腹部の緊張は鍼灸の得意分野である。ツボを使うと調整ができる可能性が高いため、腹部の緊張が影響している症状に有効である。
全ての施術を終了し、「この10年なんだったんだろう」と嬉しそうに笑顔でお話しいただけたのが印象的な症例だった。
症例5 試験が近づくにつれ悪化した過敏性腸症候群、腹痛と何度も起こる便意
患者
男性 10代 札幌市清田区在住 鍼灸経験なし
来院
2018年12月
症状
一か月くらい前から急に腹部に痛みを感じるようになった。
痛みは朝の通学の時間に顕著に現れる。交通機関を利用するため乗車している間は腹痛と格闘している。
朝起きてから学校につくまで4回から5回トイレにこもる。学校では授業の休憩のたびにトイレに行っている。
トイレで便を出すと症状は軽減する。
一か月後にセンター試験があるため、それもストレスになっていると自覚している。
こんなに痛みが出たことはないが、もともとお腹を下しやすい傾向がある。
病院では、「過敏性腸症候群」の診断を受けた。トリメブチンマレイン酸塩錠100mg使用するも、症状の変化はなかった。
「センター試験までに治したい。」とのことで、ご両親からLINE@にてご相談いただいた。
施術内容と経過
初診時
腹部の緊張、腰の緊張、肩の緊張からスネのツボと肘のツボに鍼をした。
さらに、膝周りに鍼をして、腹部の緊張に変化が見られたため一回目の施術を終了した。
2~3回目
初回後、腹痛が3割ほど低下した。便意の頻度は変わりない。
3回目後、腹痛はだいぶ減った。今は通学中1~2回腹痛出るが、困るほどの痛みにならない。学校では1~2回便意でトイレに行っている。
4~5回目
通学中、腹痛は感じるか感じないか程度になっており、生活に支障がない状態になっていた。学校のトイレも一回になった。そのため、腹部の緊張の調整を行い、施術を終了した。
同時に施術を行った症状
なし
使用した主なツボ
合谷R、上巨虚L、曲池L、百会
考察
初回、腹部に硬い緊張があり、3回目ごろからその緊張が取れ、それと同時に症状も大きく変化した。
自身でも気づかないうちに精神的な緊張が体の緊張を生んだものと思われる。
治療期間も限られていたため、試験までに改善でき、ほっとした症例でもあった。
症例4 朝4回、職場で10回トイレにこもる過敏性腸症候群疑いのお腹の症状
患者
女性 20代 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
2018年9月
症状
・急な便意 ・ガス症状 ・ 腹部の張り ・便秘 ・腹痛
中学生の頃より、便秘、ガス症状があり授業中もずっとトイレを我慢する生活を送っていた。
仕事をしている現在も、仕事中や休憩時間など職場だけでも10回ほどトイレに行く。
特に朝は一時間のうちに4回ほどトイレにこもっている。
ミヤリサン(整調薬)服用中。
病院は受診していないが、自分では「過敏性腸症候群」ではないかと思っている。
精神的な緊張が腹部の症状に関係するという情報を知り、精神的な緊張には鍼灸がいいという情報からインターネットで当院を見つけ、ご連絡いただいた。
施術内容と経過
初診時
腹部の広い範囲が冷えており、冷えと腹部の緊張を取り除く為、腕や足に鍼をした。
腹部の冷えや緊張の改善がみられたことから初回の施術を終了した。
2回目(初回から10日後)
前回後、お通じがスムーズになり、お腹の張りもかなり改善していたが、初回から一週間たったころから症状が出てきた。
腹部の冷えも部分的にあった為、初回同様冷えと緊張を取る為に鍼をした。
3回目(前回から4日後)
症状あまり感じずに生活できている。
朝のトイレも一回になり、職場でも便意やお腹の張りでトイレに行くことはなくなった。
便がスムーズに出るともっと楽とのことで腹部の緊張に対して鍼をした。
4回目(3回目から10日後)~5回目(4回目から4日後)
1週間空くと少し症状を感じる傾向がある。施術後は症状気にならなくなる。
症状をみながら施術間隔をあけていく相談をした。
6回目
その後、症状は落ち着いている。ご本人の希望もあり、月2回の間隔で施術を行い経過観察中。
同時に治療した症状
肩こり
使用した主なツボ
四讀L、手三里L、上巨虚L、三陰交L
考察
過敏性腸症候群は発症から長期間悩んでいる方が多く、身体的にも心理的にもその根源は根が深い。
今回のように、症状が安定する前に施術間隔が1週間以上あくと、身体の緊張が産まれ、体が前の状態に戻ろうとしてしまう。
それを防ぐためには、週に2回の施術間隔が望ましく、その方が施術回数も施術期間も最小限で改善すると考えられる。
症例3 仕事中ガス(おなら)が漏れ出てしまう過敏性腸症候群
患者
女性 札幌市在住 鍼灸経験なし
来院
30年8月
症状
20年以上前から、「お腹が張って苦しい」、「ガスが漏れてしまう」ガス症状に悩んでいる。
5年前から精神科にて抗不安薬を処方されている。
最近になり、消化器内科にて大腸検査をしたが異常がなく「過敏性腸症候群」の診断を受けた。
仕事中は常にお腹がはり、ガスが勝手に出てしまい恥ずかしい思いをしている。
インターネットで病気を調べるうち、鍼でも治療が出来る事を知り、ご連絡いただいた。
治療内容と経過
初診時
腹部の緊張を確認したところ、おすと痛みを感じるエリアがあったため、そこの緊張に関係するスネのツボ、肘のツボに鍼をした。
さらに下腹部の緊張に関係する足のツボに鍼をして初回の治療を終了した。
2回目~5回目
3回目までは大きな変化は無かったが、4回目からお腹の張りが低下し、仕事中の症状も休憩中の周囲に人が集まっている時のみ気になるようになった。
6回目~10回目
腹部の緊張を調整する鍼を行った。
症状が出る休憩の時間を、いつもより長くとってみたが、気にはなるものの、症状の悪化などは無かった。
症状は落ち着いてきており、平成30年9月現在、定期的な治療を行っている。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
上巨虚L、足三里L、曲池L、胞膏L
考察
長い間悩まされていた腹部の症状は不安から腹部の緊張を生みやすい。
その為、「大丈夫」な経験を積むことが大切と考える。
腹部の緊張が調整できれば腹部の症状は落ち着く為、その状態で生活し「いつもと違う楽な感覚」を感じてもらうことが改善への大きな近道となる。
症例2 妊娠後始まった妊婦の便秘症例
患者
30代 女性 札幌市在住 鍼灸経験あり
来院
30年5月
症状
普段、便秘に悩まされることは無かったが、妊娠後、便秘気味になった。
出ない時は3~4日出ず、お腹の鈍痛とお腹が苦しくなってくる。
妊娠中という事もあり薬を使いたくないとのことで、鍼治療のご相談をいただいた。
治療内容と経過
初診時
腰部の緊張と、腹部の緊張を確認し、緊張が強い場所と関係がある足のツボに鍼をした。
さらに、足のツボに鍼をした後、腹部の緊張が緩んでいることを確認し初回の治療を終えた。
2回目
初回後、翌日にお通じがあった。
前回と同様に鍼をして、様子を見るようお伝えした。
3回目
前回は治療当日にお通じがあり、その後お通じは一日から二日おきに出ている。
生活に支障がない状態まできたので、また症状が出たらご連絡いただくようお伝えし3回目で治療を終了した。
同時に治療した症状
肩こり
使用した主なツボ
上巨虚L、三陰交R、陰稜泉L、合谷L
考察
妊娠後はホルモンバランスや食事の変化で便秘になる場合がある。
胎児からの圧迫や、便秘でトイレでいきむようになることで痔になってしまう妊婦さんも多い。
妊娠中、何よりも痔が辛いという声をお聞きすることもある。早期に便秘を解消できれば痔になる確率も大きく下がる為、便秘と軽く考えず、しっかり治療することが必要だ。
また鍼治療は薬など他の治療法と比べリスクが少なく、妊婦さんにとっても安全な治療法の為、多くの妊婦さんにお勧めしたい。
鍼と妊婦さんのお話はこちらに詳しく書いています↓
肩こり、腰痛など体調不良に薬を使いたくない妊婦さんの為のはり治療解説①
肩こり、腰痛など体調不良に薬をない妊婦さ使いたくんの為のはり治療解説②
症例 外出する際は一日食事が出来ない過敏性腸症候群(IBS)
患者
60代 女性 札幌市白石区住
来院
30年1月
症状
30年来の下痢症状がある。
症状は特に緊張する場面や、トイレにすぐに行くことができない状況(公共交通機関利用時など)、疲れた時に悪化する。
この症状を患うようになってからは、外出する際や、人前で話さなければならない時は、下痢するため一日食事をとらないようにしている。
病院では過敏性腸症候群と診断を受け、処方薬を使用しているが、改善はみられない。
以前、当院にて別の症状で通院していたこともあり、「鍼で治すことは出来るのか?」とご相談いただいた。
治療内容と経過
初診時
腹部の状態を診てみると、下腹部、おへその周りに硬さ、圧痛を確認できたため、そこに関係の深い足首やスネのツボに鍼をした。
お腹が温かくなったことを実感して頂けたため初回の治療を終了した。
2回目~5回目
前回のツボに加え、おへその横にも硬さを確認したため、そこに関係のある肘にも鍼をした。
5回目には薬を使わずに生活出来るようになっていた。
6回目
5日目の治療から10日間、間をおいてみたが、前回後から下痢症状出ていない。
まだ軟らかめではあることから、間隔を伸ばしながら治療継続中。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
陰稜泉L、下巨虚RL、上巨虚L、陽陵泉L、曲池R
考察
腹部の過度な緊張と精神的緊張が重なることで腹部がこわばり、胃腸の動きを妨げていると考えた。
鍼灸は身体の緊張を緩和することに長けた治療法であり、さらに腹部に鍼をせずとも、全身のツボから腹部の硬さを調整出来る。
今回のような長い年月患った症状でも改善できる可能性がある為、同じようなお悩みの方にも鍼灸治療を選択していただきたいと思う。