頭痛の種類
ここでは、頭痛の種類や、家での対処法、頭痛に影響する食べ目などもお話ししたいと思います。
頭痛の種類
国際頭痛分類(ICHD-II)の診断に基づいて実施された、Sakai , Igarashi による大規模調査の結果(Eisai.jp)では、日本人の頭痛発病数は3000万~4000万人と推定されます。
じつに国民の4人に1人が頭痛に悩んでいるということになります。
頭痛には色々なタイプがあります。
そのタイプによって、対処法も異なるため、ご自身の頭痛がどのタイプなのか、きちんと知ることが大切です。
頭痛は大きく分けると「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分けられます。
一次性頭痛
「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」などの頭痛は「一次性頭痛」といわれ、原因となる病気がなく、頭痛自体を治療することになります。
めまいや、耳鳴り、吐き気、といった二次的な症状を伴う場合もあります。
片頭痛 (偏頭痛)
片頭痛は人口の5〜10%(全頭痛の25%)が抱えている痛みで、ズキズキと脈打つような痛みが特徴です。
片側のこめかみに痛みを感じることが多く、病名からは片方にしか出なさそうですが、おでこや目の奥、後頭部に広がることや、両側に出る事もあります。
また強い光や、においで頭痛を起こしたり、頭痛発作がおきる前兆を感じる場合もあります
片頭痛の発症率は男性に比べ、女性の方が3倍以上高いと言われています。
片頭痛の原因は?
片頭痛の原因はまだはっきりと解明されていませんが、脳にある血管が拡張するようなことが痛みと関係していると言われています。
その為、頭を動かしたり、温めたりし、血流が増加すると悪化しやすく、逆に冷やしたり、安静にしていることで落ち着くのが特徴です。
片頭痛チェック
ご自身の頭痛と照らし合わせてみてください。当てはまる項目が多いほど片頭痛の可能性があります。
2.強い光や、大きな音、臭いによって痛みが強くなる
3.症状は発作性に現れる(2~3日から数週間の間隔)
4.頭痛は数時間~3日程度で治まる
5.吐き気、嘔吐(おうと)を伴う
6.頭痛は朝方から目覚めにかけて出やすい
7.頭痛が出ている所を手で押さえると、痛みが少しらくになる
8.血縁者にも頭痛で悩んでいる人がいる
9.頭痛発作が起こる前に前兆がある
自宅での対処法
1.冷やす
血管が拡張することで痛むため、頭痛が出ている場所を冷やすことで、血管が収縮し痛みが低下します。
2.暗い場所で休む
暗い場所で動かないよにすることで、リラックスさせます。
3.食べ物による影響
・ビタミンB2を多く含む食品を食べる(納豆、レバー、乳製品など)
・マグネシウムを多く含む食品を食べる(大豆製品、ゴマ、ナッツ類、海藻類)
・カフェインを摂る
適量のカフェインは血管を収縮させる。
(過剰に取ると逆効果です、飲み過ぎに気をつけましょう)
・血管を拡張させるような食べ物は控えるようにする
血管を拡張させる作用のあるポリフェノールを含んだ、チョコレート、赤ワイン、オリーブオイルや、同じく血管拡張するといわれているハムやサラミ、柑橘類、などは頭痛の様子を見ながら食べることをお勧めします。
緊張型頭痛
最も多い頭痛のパターンで、頭痛全体の70%を占めています。
デスクワークや背中を丸めるような姿勢をすることが多い人、普段から肩コリや、首のコリに悩んでいる方に多い頭痛です。
この頭痛は、締め付けられるようなギューとした持続的な痛みや、重ぐるしいような頭痛が特徴的です。
緊張型頭痛の場合は、偏頭痛と違い、動いたりすることで頭痛が強くなることはありません。
どちらかというと精神的なストレスや、長時間同じ姿勢がつづき、首や肩の血流が悪くなり筋肉の緊張が強くなることで起こります。
緊張型頭痛チェック
ご自身の頭痛と照らし合わせてみてください。当てはまる項目が多いほど、緊張型頭痛の可能性があります。
2.頭を締め付けられるような痛みがある
3.デスクワークなど、同じ姿勢でいることが多い
4.肩コリ首コリを感じている
5.普段からあまり体を動かしていない
6.血流が良くなることをすると、頭痛が改善する(運動、入浴、マッサージなど)
7.一日の後半に痛みが増す
8.首と頭の境目を押したくなる
自宅での対処法
1.温める
お風呂や、蒸しタオル、カイロなどを使い温めることで血流の改善をうながします。
2.運動する
体操や、軽い運動をすることで、首や肩・背中の筋肉の緊張をほぐし、血流を改善します。
群発頭痛
ある一定の期間に集中して起こる為、この病名になったと言われています。
特徴は、目がえぐられるような激しい痛みです。
目が痛い為、眼科を受診する方もいらっしゃいます。
持続時間は1~2時間程で、ほぼ同じような時間帯に起こります。
特に夜中明け方に多いと言われています。
体内時計が関係しているのではないかとも言われています。
目の充血や、涙目、鼻水などの自律神経症状を伴うこともあります。
薬物乱用頭痛(MOH)
頭痛薬を継続的に飲みつ続けている方は頭痛薬の飲み過ぎによって起こる頭痛「薬物乱用頭痛(MOH)」の可能性があります。
国際頭痛学会の診断基準では「3か月を超えて1ヶ月に10~15日以上急性期治療薬、または対症的頭痛治療薬を使用している」とされています。
薬物乱用頭痛(MOH)国際基準 |
|
エルゴタミン、トリプタン、オピオイド、複合鎮痛薬 |
3ヶ月を超えて1ヶ月に10日以上使用 |
パラセタモール、アセチルサレチル酸、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) |
3ヶ月を超えて1ヶ月に15日以上使用 |
この場合、頭痛薬の調整をしなければなりませんし、頭痛のタイミングや痛み方などを頭痛ダイアリーに記入しておくことも改善のヒントになります。
当院の治療と並行し、薬の使用をやめることも大切になってきます。
後頭神経痛
後頭部の頭皮や筋肉にある神経(大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経)が原因となる、後頭部の痛みをいいます。
原因
- 首や肩のコリによる神経、血管の圧迫
- 鞭打ちなどのケガ
- 頭や首の手術
- 感染症(単純ヘルペス、帯状疱疹)
- 首の骨の異常(関節リウマチ、変形性頚椎症)
後頭神経痛の症状
- 後頭部の頭皮のピリピリ、チクチクするような痛み。
- 痛みの程度は人それぞれで、チクチク程度から激痛まである。
- 痛みは発作的に痛くなる人もいれば、痛みが持続する人もいる。
- 押すと痛む症状(圧痛)を伴う痛みに加えて頭皮の感覚の鈍さや、違和感を感じることも多い。
- 痛みは左右片側にだけ出ることも、両側に出ることもある。
帯状疱疹との鑑別が必要
水ぶくれ(水疱)などの皮疹があれば帯状疱疹の可能性があります。
帯状疱疹の場合は通常片側に出ます。
また吐き気やめまいなどは通常起こりません。(片頭痛や緊張型頭痛との違い)
二次性頭痛
クモ膜下出血や脳腫瘍など、何らかの病気の一つの症状として起こる頭痛を「二次性頭痛」といい、二次性頭痛は命にかかわるような疾患が原因の場合があります。
これまで経験したことのないような強い頭痛が突然現れたり、手足の麻痺やしびれ・痙攣、激しい嘔吐、高熱などを伴う場合などは、すぐに病院を受診しましょう。
代表的な原因として
クモ膜下出血
主に脳動脈瘤が破裂することでおこる突然の激しい頭痛。
脳腫瘍
腫瘍が大きくなるにつれ、頭痛は徐々に悪化し、手足の神経症状を伴い意識にも異常をきたすことがある。
髄膜炎
ウイルス等の感染が髄膜に及び、高熱と激しい頭痛が起こる。特徴として首の後ろが硬くなる。悪化すると意識障害をおこす。
慢性硬膜下血腫
頭をぶつけるなどしたことで硬膜下で徐々に出血し血腫で脳が圧迫され、認知症と似たような症状を伴うこともある。
二次性頭痛の可能性がある症状
いつもと違う頭痛の場合は二次性頭痛の可能性があります。
下記の症状が出た場合はすぐに病院を受診してください。
- 頭をバットで叩かれたような突然の激しい頭痛
- 痛みが急激に強くなる
- 頭痛発作を重ねるごとに痛みが強くなる
- 高熱を伴う頭痛
- 頭痛に伴う手足のしびれや麻痺
- けいれんを伴う
- 意識がもうろうとなる
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