肩の痛み、五十肩
症例2 仕事中重だるくなり、翌日から発症した左肩の痛み
患者
40代 男性 札幌市白石区在住
来院
29年11月
症状
いつも仕事で腕を使う為、夕方位になると腕がだるくなる。
2ヶ月くらい前にも、仕事で腕に負担をかけ、腕がだるくなった。
いつもなら、翌日には元に戻るが、今回は翌日から左肩が上がらなくなった。
夜間は寝返りする際に、左肩の痛みで起きてしまう。
肩が痛み、仕事にならないのと、寝不足がつらい為、早く治したくて治療できるところを探していた。
ホームページをみてご連絡いただいた。
治療内容と経過
初診時
左肩を前方に挙げて頂くと水平までしか上がらない。
横に上げていただくと60°までしか上がらなかった。
痛みは左肩の後面に出ている。
肩の軸を整える治療を行う為、足首、背中、手の甲に鍼をした。
2回目
前回と左肩の可動域(動かせる範囲)は変化見られない。
夜間に起きる回数が減った。(1~2回程度)
腰痛もあるとのことで、肩と腰に関連するスネのツボにも鍼をした。
さらに肩甲骨の動きを改善するため、肘にも鍼をした。
3回目
左腕を前方に挙げていただくと110°まで上がる。
痛みも初回に比べ弱い。
外に上げる動きは変化見られない。
以前に比べ仕事中の痛みが弱くなった。
夜間の痛みは出なくなった。
前回同様に鍼をした。
4回目
肩の動作痛は減少。
仕事中も力はいるようになった。
現在も可動域(動かせる範囲)の改善の為、治療継続中。
同時に治療した症状
腰痛
使用した主なツボ
足太陽L、申脈L、T5(1)L、精霊L、曲池L、玖路L
考察
繰り返す腕への負担で、肩関節の動きがスムーズにいかなくなったことが原因だと思われる。
この場合、過度に緊張している腕や背中の筋肉が緩むと痛みも軽減してくることが多い。
また、俗にゆう五十肩は日中以外にも夜間に痛み(夜間痛)を感じることが多い為、寝返りや体勢によって痛みで起きてしまい、睡眠が思うように取れなくなることもある。
睡眠がとれないと回復も遅れるため、悪循環になる。
長い人では2年くらい痛みが取れないという人もいる為、しっかり治療して、この様な負の連鎖を早急に断ち切る事が大切だと考える。
症例1 3年前から続く両側性の五十肩の痛み
患者
50代 男性 札幌市在住
来院
29年5月
症状
左は3年前から、右は半年前から、肩外側~後面に痛みがあり、今はバンザイの体勢ができない。
現在、両側とも肩を前方に上げると120°で痛みがる。
横に上げるのは両側とも90°で痛みが出る。
腰に手を回せない。痛みとしては右のほうがより強く感じる。
着替えも毎回つらい思いをしながら行っているという状態だった。
治療内容と経過
初診時
まず、体を調べてみると、臀部にハリの強い所を見つけた。そこを押した状態で肩を横に挙げてもらうと上げやすさと痛みの低下がみられた。
そこで、臀部を緩めるため、足首にあるツボを使った。
さらに肩を前に上げてもらう際に腰を押しながら挙げてもらと上げやすかったため、腰にあるツボに鍼をした。
再度確認すると、前に上げるのも横に上げるのも最初に比べ動かせるようなっていた。
さらに腰に手を持っていく動作が困難だったため、背中に鍼をした。
初回はここで終了した。
2回目
前に上げる動きは150°で肩後面に痛みが出る。
横に上げるのは120°から痛みがある。
前回と同じ鍼に加え、背中の鍼を一か所増やした。
3回目
前に上げる動きは160°で肩後面に痛みが出る。
横に上げるのは140°までは痛み無く可能。
首を見てみると、肩と関係が深いところが硬くなっていたので、そこを緩めるため、足首に鍼をした。すると、肩の動作痛がかなり軽くなった、ということでこの日はここで終了した。
4回目
まだ大きく動かすと痛みを感じるものの、日常動作で肩がつらいと感じることが少なくなった。
腰に手を回すのも前よりできるようになった。
前回同様に鍼をした。
5回目
日常動作でつらいと感じなくなった為、症状の悪化があればご連絡いただくよう伝え、治療を終了した。
同時に治療した症状
なし
使用した主なツボ
申脈R、志室R、玖路R、T6(1)R、T4(1)L
考察
肩は痛みをかばうことで、スムーズな動作が出来なくなってくる。
その為、動きが悪くなり痛みが出るという、悪循環を生んでしまう。
また、五十肩は長引くことも多い為、脳が痛みを記憶してしまい、関節の動きにブレーキをかけてしまう。
この状態を抜け出すためには関節を動かしても痛みがないという新しい記憶が必要になる。
今回は3年という長期の症状だったが肩自体の構造は問題ない為、肩にかかわる背部や首、腰周りの動きを整えることで、肩がスムーズに動くようになり、結果的に5回で痛みも気にならなくなった。