過敏性腸症候群の治療
過敏性腸症候群(IBS)の治療
過敏性腸症候群は治らないと思っていませんか?
過敏性腸症候群の治療は、病院やクリニックの専門医から処方される薬による治療、食事療法(低フォドマップ)などが代表的ですが、おそらく、このページをご覧いただいている方は、薬による治療を行ってみたものの、あまり結果がよくない為、他の治療法を探しているという方、もしくはそのご家族の方だと思います。
過敏性腸症候群を患っている方は意外に多く、症状の強弱はありますが統計では10人に1人は過敏性腸症候群で、さらに潜在的な患者数はもっと多いと言われています。
発症年齢は若年層に多く、症状を抱えたまま中高年まで悩み続ける方も少なくありません。当院にも学生さんご本人、その親御さんからのご連絡が多いですが、中高年層の方からのご相談もあります。
あまり知られていませんが、過敏性腸症候群の多くは鍼治療で改善できる可能性があります。
実際に当院で治療している方々も、10年以上お腹の症状に悩まされているという方も珍しくなく、「早く治療を受ければよかった」とお話しして下さる方もいらっしゃいます。
個人差はありますが、5回~15回ほどの治療で日常の生活で不安を感じない状態まで改善することを目指します。
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過敏性腸症候群の分類と症状
過敏性腸症候群(Irritable(過敏な) Bowel(腸) Syndrome(症候群))略してIBSとも言います。
過敏性腸症候群は
下痢型、便秘型、下痢型と便秘型を繰り返す交代型、に分類されます。
統計では便秘型は女性に多く、下痢型は男性に多い傾向があります。
※http://ibsnet.jp/geri/ibs/より引用
下痢型
突然おそってくるように始まる便意と腹痛が特徴で、特にトイレに行けない状況になったとたん便意を感じ、外出中や仕事中、授業中など便意が心配で、外出が困難になる場合があります。
ご相談いただく中でよくお聞きするのは、電車やバスに乗った際つらくなり目的地に着くまでに何度か降りてしまう、車に乗っていても常にトイレの場所が気になり、高速道路やコンビニがない山道などで不安が強くなる、授業が始まった際、周りの人の目が気になりトイレにいけず冷や汗をかきながら休み時間まで我慢している、会議中、緊張する場面などで悪化するなどです。
その不安がストレスとなり、さらに病状を悪化させます。学生の場合、不登校の原因となっている場合もあります。
下痢型について詳しくはこちら
便秘型
女性に多いタイプです。
腸管がけいれんを起こして便が停滞します。
便が出ない為お腹がはり、苦しいのに出ず、出ても少量しか出ないもどかしさがあります。
腸の中に長時間溜まった便は水分が吸収されウサギの糞のようにコロコロになり、排便が困難になります。
便秘型について詳しくはこちら
交代型
下痢と便秘を交互に繰り返します。
一定期間便秘が続き、治ったと思ったら下痢を繰り返すというタイプです。
このタイプは期間によって症状が正反対なので、薬を使用するタイミングによっては症状を悪化させてしまう場合があります。
※ガス型
正式な分類ではありませんが、下痢型、便秘型、混合型の症状として含まれることもあります。
腹部に強い膨満感(お腹が張った感覚)があり、お腹が鳴ったり、ごろごろする、意思と関係なくガスが漏れてしまうなど、症状が気になり人前では常に緊張状態になります。
静かな環境や、交通機関など周囲に人がいる状況、授業中、仕事中など、特定の環境で症状が強くなる傾向があります。
ガス型について詳しくはこちら
過敏性腸症候群の2つの診断基準(RomeⅢとBMW基準)
日本の過敏性腸症候群の診断基準には、RomeⅢ(ローマ3)とBMW基準という2つの診断基準があります。
RomeⅢ
世界的に認められている過敏性腸症候群(IBS)の診断基準です。
診断基準は下記です。
(1)腹痛などの症状が排便により軽快する。
(2)症状の有無によって排便頻度に変化がある。
(3)症状の有無によって便の状態に変化がある。
※6ヶ月以上前から症状があり、腹痛あるいは腹部不快感が、最近3ヶ月の中の1ヵ月につき、少なくとも3日以上を占め、2項目以上満たしている。
BMW基準
日本の実情に即したものとしてBowel Motility Workshop Clubの頭文字をとって名付けられました。
診断基準は下記です。
下記の(1)、(2)の症状が1ヶ月以上繰り返す。また、他に器質的(身体的)疾患がない。
(1)腹痛、腹部不快感あるいは腹部膨満感がある。
(2)便通異常(下痢、便秘あるいは交替性便通異常)がある。
便通異常には以下の1項目を含む。
(1)排便回数の変化
(2)便の状態の変化
なお器質的(身体的)疾患がないことを確認するために、原則として下記の検査を行う。
(1)尿、糞便、血液一般検査
(2)注腸造影検査または大腸内視鏡検査
※注腸造影検査や大腸内視鏡検査は、患者自身に負担を伴うため、行わなくても症状が認められれば、過敏性腸症候群(IBS)と診断されます。
検査では異常が見られない
血液生化学検査、尿一般検査、便潜血検査が行われるのが一般的ですが、どの検査でも異常がみられないのが過敏性腸症候群の特徴です。
過敏性腸症候群の原因
はっきりした原因は今のところ不明です。
ですが、ストレスに大きく影響されていると考えられています。
腸と脳は、「脳腸相関」といい、密接に関係し、互いに影響しあっています。
脳が精神的な影響で強いストレスを受けると、自律神経を介して胃腸に伝達され、胃腸の不調を起こします。そして胃腸の不調は強いストレスとなり、再び脳に伝わります。
この脳腸相関の悪循環は時間とともにより根深いものとなっていきます。
また免疫の異常、食生活の欧米化、生活リズムの乱れも影響していると考えられています。
なぜ鍼で効果があるのか?
痛み、痺れ、不快感、不安、どのような症状でも、本来の心体状態でない場合、ヒトの身体は緊張を生みます。
痛む場所が硬くなったり、精神的な緊張で無意識に肩に力が入っていたりします。
ですが、緊張を自覚することは難しく、気づかないうちに身体に緊張を生み、お腹にも緊張があらわれ、その緊張は内臓の動きを妨げてしまいます。
内臓の動きの悪さは内臓の不調となり、不調はストレスとなって再び脳に影響を与ます。
まさに負のスパイラルです。
そこで鍼治療です。
鍼は古来より、緊張を緩めることを得意としている治療法です。
当院では独自のツボを使い、より高い効果を目指して施術しております。
また、当院では腹部を独自のエリアに分けて診ることで、症状の原因となっている緊張を見逃さない治療をしています。
各エリアに対応したツボを使い分け、実際に患者さんご本人が感じる腹部の痛みや、不快感、硬さを指標に、治療を行います。
鍼をお腹、関係する手足のツボにすることで、お腹の緊張を緩め、内臓の負担を軽減します。
治療頻度 回数は?
治療は週に2回行うことが理想的です。
週に1回でも可能ですが、空いている期間お腹の緊張が戻る場合がある為、1週間以上間隔をあけない方が回数が少なく済みます。
治療の回数は、まず約5回~10回行わせていただきたいと思っています。
5回~10回と幅があるのは、回復スピードに個人差があるからです。
この5回~10回の1クールで治療を終了するか、もう少し続けるかは症状とご本人のご希望を考慮して決めていきます。
こちらから継続を強要するようなことは決してありません。
ただ、おなかの症状を抱えていらっしゃる場合、日ごろから頑張りすぎている方、ストレスや環境変化などの刺激に弱い方が非常に多く、日常生活の中でも負担が蓄積してしまって症状となっているため、回復してからも定期的なメンテナンスをすることをお勧めします。
最後に
この病気は、体質だから仕方ない、恥ずかしいという思いから相談できず、孤独に戦っている方が多いと思います。
そして、薬以外の治療方法もまだまだ認知されていない為、解決策がないと思われがちです。
当院は多くの過敏性腸症候群の方がいらっしゃっています。
専門の医療機関だからこそできることもあります。
当院の専門分野です、自信をもって施術しています。